Chancey小説

 

ザイロフォンをやり始めたときにまったく何もできないので目の前が真っ暗になってしまった。
そのとき備忘録をつけようと思い立った。

しかし、普通じゃまったく歯が立たないですぐにも飽きてしまうだろうと思い小説形式にした。

それが小説を書き始めた動機である。
やりはじめてみると、思うように行かないザイロフォンの反動もあり物語がつぎつぎに展開しておもしろかった。

傍から見てのことよりも私のために書かれたものが出発であったのである。書き続けているといままで心のどこかに積み残してきたことがテーマとして押し寄せてきた。時代も未来も宇宙もアフリカもごちゃまぜになって爆発した状況のものが、読み手側の客観性の面白さには耐えられるわけはない。

しかし、そんなことは問題ではなかった。それほどアフリカンザイロフォンというものは私にとって取っ付きの悪いものだったのである。

書き続け10年経ってみるとこれは面白い試みであったことだと思えてくる。

小説中に私のアフリカンザイロフォンに対する総体イメージと、霊的インプロヴィゼーションへと発展するプロセスが随所に見えてくる。

荒唐無稽な面白さはアフリカ的であるし、また絵画的である。

この備忘禄は、アフリカの精霊とアフリカンザイロフォンの深みを理解するには格好の案内書になるだろう。