天真爛漫へようこそ。

霊性の本格派アフリカ木琴奏者チャンシーの芸術的ブログ小説です。低炭素で面白い、自然な難解、かつ天真爛漫な物語。

第一章 輪舞する星々 No.23

Posted By on 2012年2月9日

No.23
「なんじゃ?身体がふわふわじゃ!」そう言うと、メスーゼラの身体は物質では無い湯気の様な状態に変化した。
「さあ、それなら俺は気にならねえ、あんたはただの煙だ。何処へなりとも一緒に行けるぜ、ヒヒヒ。」ジョロボは心で見つめる様にちょっと目を瞑った。
「おお、ありがとう。ワシは、あらゆる物質的なものから、たった今おさらばする!こりゃいいわい!!ジョロボ、木琴をぞんぶんに弾いてくれ!テスラ殿ご一緒させてもらうよ、実に良い気分だ。」
メスーゼラは五千年の重さを吹き飛ばす様にくるくる廻った。

第一章 輪舞する星々 No.22

Posted By on 2012年2月3日

No.22
「ハハハ、ジョロボ、テスラ、実に爽やかな気分だ!ワシは千年振りに言い知れない可能性を感じる!何でもできそうな気がして来た…。これがジャガーピースのおかげならすごい奴だ、ワシは今更にして解ったことがある。煙草の精霊と思索は切っても切れないのだ!その光輝面をワシはまったく数千年に渡り知らなかった。」メスーゼラは奇妙な紫色の輝きを帯びて光り輝き、辺りに高貴な煙草の香を漂わせ自ずから完全体への変身を遂げた。

「煙草の精霊は、それは強力さ!
宿命を変えることすらできるぞ、ヒヒヒ。ジャガーピースがこの先もっと信じられないことを起こすよ、気に入ってくれさえすればだがね。イヒヒ!やつはほとんど野生だ、だが敵にまわすとこれほど手ごわい奴はいない。ムヒヒヒ!コントロールは木琴でしか効かないぞ。」
ジョロボはますます目玉がひっくり返るほどメスーゼラを見上げた。

第一章 輪舞する星々 No.21

Posted By on 2012年1月31日

No.21
「ワシの中に何か強いパワーのようなものが注入されたぞ!?どうしたことだ?内から何かが盛り上がって、居ても立ってもいられない!」
メスーゼラのすべすべした木肌が蛇の如くスムーズに動き始めた。
「盟友のジャガーピースがあんたを余程気に入ったとみえるね。イヒヒ!俺にも一体全体どうなるか見当がつかないよ!メスーゼラ、あんたに暗黒界の最も強烈な精霊とたった今同化してしまった。
まるで本来絶対に交わることの無い善と悪が一つに絡み合ったようだ、ムヒヒヒ!前代未聞だ!」ジョロボは目玉をひん剥いてメスーゼラを見上げた。
「どうしたことだ?ジョロボ、
悪魔と化したのか?メスーゼラはどうなる?」テスラも世にも奇妙な変身を見上げ、顔を引きつらせた。

第一章 輪舞する星々 No.20

Posted By on 2012年1月29日

No.20
「それでこそ大賢者メスーゼラ!彼岸に一緒に来ていただけますか。
かように真摯な貴方に私は会いたかったのです!木々の王よ。
人類に対する貴方の優しさが伝わります…。しかし、正直に言いますと、はたして私たち人間が救われるだけの価値があるのかどうかは疑問です。」
「それは別の問題じゃ。ワシはそれについて見極めてもみたい!」

するとジョロボが煙草に火を着けながら言った。
「メスーゼラ、あんたも随分勝手だがそれもまあいいよ、ヒヒ。だがあんたはまだ来るときじゃない。あんたのような立派な大賢者を勝手に向こうに連れて行くわけにはいかねんだ、ムヒヒ。
ところで、あんたの思索ってのは、直感はねえのか?こ難しいものだな。俺は木琴弾くときには何にも考えねえぞ、すべて直感だ。イヒヒヒ、考えると危ねえからなムヒ。」

ジョロボは、メスーゼラの根元で大きく一服ムファーと紫煙を吐いた。
煙はみるみるすべすべの幹を絡むように登り、綺麗な螺旋を描いた。
「ムヒヒ、俺は煙草の精霊とは盟友なんだよ、煙を見ろ!
盟友が賢者メスーゼラに興味を持ったぞ。ヒヒヒ!奴の名は「ジャガーピース」だ、ムヒヒ!ところでテスラ、あんたから貰ったジタンは美味いな。」ジョロボがニンマリと古木を見上げた。

第一章 輪舞する星々 No.19

Posted By on 2012年1月26日

No.19

 

「!!!…。

待て!すっかり思い出した…!私は。あの隕石ガラスの一つが無かったその意味する謎が今解けたぞ!いくら思索しても解らんのも当然じゃないか!?

それは思索だけでは得られんからじゃ!

それは直感でしか得られん。

直覚じゃ!

知は最初から在ったものだったか…。

テスラよ、待っておくれ。ザイロフォン ジョロボ、わしも彼岸に連れて行ってくれ!

三つの玉の最後の一つは心の魂なのだ!すなわち「意志」と「意識」の複合した「祈願」の魂に違いない!しかもかぎりない静謐「セレニテ」のうちにだ!

思い出した、すべて思い出した!何故の存在かを!!彼岸に幸あれ!」

メスーゼラは興奮して語った。

第一章 輪舞する星々 No.18

Posted By on 2012年1月18日

No.18
「メスーゼラ、貴方はそんな子供みたいな事を仰言る…。
引退をしたからと言って人類を見捨てるつもりですか?貴方だけ安穏なら良いのですか?精神の輝ける物を代表する貴方がその程度のものなのでしょうか?」テスラは古木を仰いだ。

「何と言われようとダメだ!テスラよ、わしの平穏な思索生活を邪魔するな。」
「そうですか、貴方は人類の非行に見て見ぬ振りで済ますのですか…?
放蕩息子が帰っても放っておかれれるのですね、星辰の思索が聞いて呆れる。
来るんじゃなかった、ザイロフォン ジョロボ、戻りましょう。」テスラはメスーゼラを正面を見据えて言った。

第一章 輪舞する星々 No.17

Posted By on 2012年1月16日

No.17
「メスーゼラ!?」
テスラは目の前に実体化した奇怪な古木を見上げた。
「わしの名を気安く呼ぶのは誰だ?わしは深い幽界を呼び寄せられたぞ。」テスラの胸の奥底に言葉が湧きおこった。
「私はテスラです。貴方に会ったのはもう65年余りも前ですが憶えてますか?」テスラは木の根にそっと触れた。

「テスラ?はて、いつお会いしたかな?…おお、その掌の感触は覚えがある。ガルーダ、ノンモが死んだ日だ…、あなた方やミスター老杉が来たのはな。忘れてなんぞいないぞ…。

その後、記憶は消し去ったものの、もはや、危惧した世界の病は精霊界をとどめられぬ処まで壊滅せしめてしまったな。
あの時、最後の療法として行った古代オリンピアの理想は裏目に出て、無念にも砕かれた。わしはそれで精霊界引退を決意したのじゃ。
なので、どの様な用向きか知らんがテスラよ、わしを呼んでも無駄だぞ…。もう、何もする気も無い。」

第一章 輪舞する星々 No.16

Posted By on 2012年1月13日

No.16
テスラには何も見えなかった。
「懐かしい静かさだ…。これは覚えがあるよ、メスーゼラだ!メスーゼラはどこだ?」
「そこだ、その黄色のがメスーゼラだ。鼻で嗅いでみなさい、よく分かるぞ。ある感覚というのは実在記憶にくっ付いている。」
「鼻で?何と!?感覚が実在記憶のカギなのか?わしはずーっと科学で感覚を排除した理性のところから考えてきた、客観視と云うことだ。…見えないのはその報いだろうか。客観は自身の実在感覚に根源を持つのか?」
「難しくしてはいかん!あんたの理性自体は音楽を感じることは無いだろう。演奏は其れ自体実在記憶の一種だよ。」
そこまで言ったところで、実在のメスーゼラが見えた。

第一章 輪舞する星々 No.15

Posted By on 2012年1月8日

「あんた、どこに行きたい?」
「メスーゼラに会いたい。」
「あのブリストルコーンパインのメスーゼラかい?ああ、いいだろう、いいだろう。チョットだぞ。」
そう言うが早いか、ジョロボの右手の速いフレーズが、ゆっくりの左手ベース部に連なり重なった。

いったいどこからだろう?テスラの目の前に光り輝く輪が出現したと思うと、軽々とジョロボは滑るようにそこをくぐり抜けた。

「これは何だ?ジョロボ?!
「あんたの実在記憶さ。」
「俺だけのものじゃないのか?記憶と云うものは?」

「難しくなる。この木琴を見なさい。叩いた音はどうなる?下の瓢箪に入って、あらゆる増幅されて音の連なりになるだろう?それは音だが、音じゃない…。
そんなものさ。分析するより見たままさ!問題は心だよ、心が実在なのさ!」
「俺の心の中に突入したのか?」
「いーや、あんただけのものじゃないさ心は。心は所有じゃないぞ、まあまあいい、難しくなるだけだ。…そこの黄色い波動がメスーゼラだぞ!」

くわえ煙草を燻らせると、ジョロボのビーターは、よりスピードを増し黄色い波動と唸りをあげて一体化した。

第一章 輪舞する星々 No.14

Posted By on 2011年12月31日

No.14
シャボン玉はテスラを乗せると軽々と上昇した。
「ジョロボ、あんたどこにでも行けるのかね?この木琴で。」
「うひゃひゃ、どこでも自在よ。」
「それじゃ、一つ行きたいところがあるのだが。付き合ってくれんかね。」
「ダメだ、俺はあんたの運転手じゃない。俺はただあっちの世界に渡しに来たのだよ、それだけの契約だ。渡し守さ。」
「そう固いこと言うな。ほれ、あんた煙草吸わんか?ジタンはどうだ?」
「ジタンか!はやく言いなさい、どこなの?チョットぐらいなら付き合えるぞ。」
そう言うが早いか、ジョロボは一本くわえて煙を吐いた。

「ふはー、ジタンは旨いな。精霊が上等だ。」
くわえ煙草のまま木琴を軽やかに鳴らした。

第一章 輪舞する星々 No.13

Posted By on 2011年12月23日

No.13
次の夜の午前零時きっかりにドアは叩かれた。
そこには、袴のように太いズボンに短い背広で正装した奇妙な黒人が、ドアの真正面に立っていた。
「やああんたがテスラか?
ワシはザイロフォン ジョロボだよ。はるばるアフリカからやってきた呪術師だ。ラジオで聞いて知っているだろ?
さあ、これから君のリズムを聴く旅に出かけるぞ。」そう言うと、肩にかけた吊り橋のように大きな木琴を目の前に降ろし、弾きだした。

それは何とも表現しようのない不思議な音色をしていた。しばらく呆気にとられ聴いている内に、ジョロボの周囲がグルンと歪んで、空間がシャボン玉のような透明なバリアーに囲われた。
「乗れ!」ジョロボが目を瞑ったままテスラに言った。

第一章 輪舞する星々 No.12

Posted By on 2011年12月19日

No.12
「なぜ記憶封印されたのか、今、ワシは分かってきた。メスーゼラは消しゴムを掛けたのだ…。
メスーゼラは誤った方向に、どんどんと人類が進む事を修正しようと、人間に干渉した。
その記録を消しゴムで消した…。」

「それで修正して直ったの?」
「いや、無駄だった…。己の過ちは己のでしか直らなかった。
一万年生きた仲間のガルーダやノンモが、汚染と環境破壊で次々に亡くなっていった。
そこでメスーゼラは人間の再建にギリシャ的な方向を示し、世界規模で古代オリンピアの競技を開催した。それには、奇跡を起こす隕石ガラスという奇妙な石が三つ必要だが、一つの欠けていた。そのまま二つで開催され、すでに公正な精神を失った人間にはまったく奇跡も意味を持たなかった。
それですべての記憶に消しゴムだ。
ワシはこの期に及んで、すっかり抜け落ちた記憶をとりもどしたぞ!」

第一章 輪舞する星々 No.11

Posted By on 2011年12月16日

No.11
そこまで言いかけテスラの身体に電流のような衝撃が走った。
六十余年前に見たカリフォルニア、ホワイトマウンテン、インヨーの奇怪な巨樹達の光景が目の前にまざまざと現れたからだ!
今まですっかり記憶から抜け落ちていた事どもが突然と実在を取り戻してきたのである!
「何ということだ?!あやふやな夢と思っていた事どもが事実だったとは!
それもまったく今の今までワシはこのメスーゼラを忘れていたぞ。
こいつはワシに魔術を掛けて記憶を封印していたのだ!
死を目前にして、皮肉にもその記憶の鍵が開かれたのだ…。」
「おじいちゃん、メスーゼラって何のこと?」
「四千五百年も生き抜いているブリストルコーンパインという木の形をとる宇宙知性だ。 」

第一章 輪舞する星々 No.10

Posted By on 2011年12月14日

No.10
「そうか。それは迷惑を掛けたなルリオ。お前はやさしい子だなあ…。だが心配はもういらんぞ、何ごとにも終わりがくる。壊れた物理学者のワシにも、物理学の山を超えて、いよいよ明日の夜にはお迎えがくる…。しかと見届けるといい。
この世とワシはおさらばする。」

「おさらばするって、死んじゃうってこと?」
「まあそうも言うか。だが死が終わりではない。ようやくワシも現実というものが分かってきた。ルリオ、ワシが死んでも」

第一章 輪舞する星々 No.9

Posted By on 2011年12月12日

No.9
「おじいちゃん!」
遠くから聞こえる声でテスラの意識はハッキリしてきた。
「おお、ルリオか。どうしたことだ?ここは家じゃないの。ワシはどうしたというのだ?」
「誰かの電話で、おじいちゃんが近所の浜で倒れていたのを見つけたんだ。又、徘徊老人が倒れているってね。それで急いで友達と担いで家に来た。それから一晩中眠ったよ。気分はどう?憶えている?」
ルリオは、車で十分ほどの近所に住むテスラの孫で二十歳だ。テスラに似てヨーロッパ系の凛々しい顔立ちだが、右眼だけが明るいブルーだった。

「何だと?浜に…。」
「親父さんは、又かって、飽きれてかえっちゃったよ。」

第一章 輪舞する星々 No.8

Posted By on 2011年12月9日

No.8
「明日、夜の午前零時にお迎えがきます。これは以前六十余年前にも有ったと記憶されているかもしれませんが…。おたのしみに。」

そこまで言ったとき、全てが収斂を始めた。太陽光をレンズで集めると一点に集約するように、テスラの霊体は再び強烈に集約されはじめた。

第一章 輪舞する星々 No.7

Posted By on 2011年12月6日

No.7
「どんなことでも起こるとは思っていたが、目の前で六十余年も前の続きが始まるとはね、また格別だな。ラジオブルキナには私のことが分かるのかね?」

「はいそのとおり博士、ご存知でしょう?私どもの放送は誰にでも聞けますが、受信機が有ればいいと云うものでも有りません、あーあー、これでもれっきとした霊界ラジオでありますからね。あーあー、ブルキナマシオン!」

「そうか、私の計画はうまく運んでいるようだね。」
「はい、でも一つ問題が有ります。運命は運命に返してやって下さい。つまり死んだか生きているかは、どちらとも言えないということで、それがよろしいと云うことです。」

「人間の自らの死の認識は通用しないと云うことかね?」
「はい、魂のラジオブルキナの受信バンドはそこですから。ブルキナマシオン!霊界は理性を超えています。」

第一章 輪舞する星々 No.6

Posted By on 2011年12月2日

No.6
いったいこのどこまでも透明な
何もない清しい感じは何なのか?!これこそが宇宙全体を貫くもの、主体なのではないのか?

そう思いつつテスラは右半身に目をやると、こんどは個別のいくつかの相が胎蔵界曼荼羅の如くに、せい然と規則をなしている。
テスラには、これは一つのゲームのように見えた。
その中の一つは、また別の胎蔵界曼荼羅を形作って、そのまたと、無数に入れ子の構造を示している。
知と認識の終わりと云うものが無い無限構造を実体化させていた。

突然軽やかだが厳かに喋る声が聞こえてきた。
「こちらはラジオブルキナ、テスラ博士、おはようございます。その日が来たことをお知らせします。でも驚くことは有りません、これは誰にもあることです。」

第一章 輪舞する星々 No.5

Posted By on 2011年11月30日

No.5
はるか滝の上から眺める如くに自分の身体が下方に横たわるのが見える。

テスラは、自分自身はどうなっているのか心配になった。
左半身を覗かせると、何とも美しい黒揚羽蝶になっているではないか?!翅は馬頭星雲の彼方まで延び、信じられないスケールで展開した。
意識はだまされまいとするが、心眼は、見えるままをうけ入れメタモルフォーゼを幻覚ではないと捉えていた。
テスラの科学と常識がハッキリと禊ぎを受けた瞬間である…。

死とは、消滅からほど遠もので、
自己と云う概念も、見かけ倒しでしかないことに、テスラは唖然とした。

第一章 輪舞する星々 No.4

Posted By on 2011年11月28日

No.4
それにしてもここは何処なのか?
ベッドから身を起こしあたりを見回すと、あることにテスラは気づいた。自分の身体はベッドに横たわったままなのだ!

「やはり!自分が見えるとは、私は霊体となって身体を抜け出ているに違いない。」そう思うと、できるだけ気持ちを落ち着かせ、上昇を試みた。
しかし、天井付近に漂うのが精一杯で外には出られない。
我ながらスローな行動が嫌になった。